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libellus 

西澤保彦, 『異邦人』, 満足度4.0/5.0
40歳の主人公がタイムスリップしてしまったのは23年前、父が何者かに殺された年だった。父の死を知って、同性愛者であることから父と対立し、行方を眩ませていた姉が家業を継ぐために戻って来る。慕っていた姉は望まぬ結婚をし、その原因は自分の無力さにあると懺悔し続けてきた主人公は、父の死を食い止めるべく姉の恋人と共に犯人を探そうとする。
あらすじだけ見れば準SFミステリだが、どちらかと言うとヒューマンドラマ。この作家は自己欺瞞を抉り出すのが本当に上手い。
僕らは大人になるに従って、段々嘘が巧くなる。それは意地だったり、面子だったり、理想だったりを守るために自分に吐く嘘。誰も暴くことはできないから、自分で気付くしかないのだ。
気付かずにこびり付いてしまった欺瞞はやがて腐蝕し、それを庇う為に歪んだ思考回路を組み上げていく。なぜ悩んでいるのか自分でも判らないような葛藤の原因になる。

きれいな自分でありたいと願って僕は、今まで色んな嘘をついてきた。
それを暴いていくのはしんどい。薄汚い自分を認めることになるから。

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