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コンビニで本を読んでいたら終電を逃してしまった。
先週までずっとタクシー帰りだったから忘れていたが、そうか夜は早いのだ。

今日は月曜、まだ足は動ける。
歩いてみようか。

* * *

会社近くの駅を通り越して、行き当たった大通りに沿って歩く。
高いビルが上の方で赤い光を灯している。
一面のガラス壁の向こうには、誰もいない暗いロビー。

次から次へ、淡く光るタクシーの群れが追い越し消えて行く。
夜の海の魚みたいだ。
中に混じって、黒い巨大な魚が駆け抜ける。
道路もろとも唸りをあげる。
声を出して歌う。
「壊れてく白日に慰霊の夢を見ている」

静かな街でオレンジ色に脈打つ道路に早まる血流。
ふと横を向くと見えた路地は、血の気が退くほど暗かった。

滑り落ちそう。


四谷を越え、新宿御苑を越え、漫画喫茶を探して明るい方へ。
通りに見覚えがあった。顎鬚と筋肉を誇示する男のポスターがあった。
もう少し行くと、いつか立ち寄った交番と、女装バーがあった。

僕にはもう、関係が無かった。
僕だけが悲しい話だ。

* * *

そうしてまた漫画喫茶にいる。
「そういう学生みたいな働き方はやめなさい」と、上司が前に言っていた。
昔のバイト先の同僚からメールが来た。
隣の客がうがいをしている。
打っているキーボードが酷く硬い。
漫画を読んだ。
「Papa told me」

昔父親に押し潰された感覚が今でも消えない。
父は無言で僕の上に乗り、僕は心地良い圧迫感を感じながら天井を眺めていた。
あの圧迫感が消えない。

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